業者の選び方
ある建築主から、外構・エクステリアについての相談を受けました。
「他の業者数件からプランを提案されたが、どうも内容のわりに金額が高すぎる気がする。本当にこれだけの費用がかかるのだろうか?」さっそくプランの中身を見せていただいたところ、私たちの目から見れば一目瞭然。それは“素人”の仕事としか言いようのないものでした。
一見、綺麗に描かれたプランニング図面は、実は無駄が多く、いたずらに複雑なものだったのです。
建築主の要望は「使い易く、機能的なプランがほしい」ということでした。
それは決して不可能ではない、と私たちは考えました。
実際にプランを作成してみたところ、当社提出プランの中にある「利便性・機能的な動線」は誰の目にも明らかなほどに向上し、しかも価格は35%ダウン。もはや建築主への詳細な説明すらも不要でした。
建築主とのヒアリング内容を誤って受け取ると、答えが見えなくなってしまうのです。内容のないプランニングが平気でまかり通ってしまっている、それがこの業界の実情なのです。
電気知識も必要です
外構・エクステリアの仕事で電気に関係する業務は、門灯とドアホンぐらいです。(※注 ドアホンは、親機との関係からハウスメーカーで用意されていますので、ドアホンを支給してもらい配線・取付のみが基本となっています)。電気工事は資格が必要ですので電気屋さんに依頼します。そこまでは解ります。
問題は、電気屋の必要ない小さな電気工事。なんと業者の多くは知識のないまま間違った施工をしてしまっているのです。外構業者にとって占める電気工事のパーセンテージは2〜3%で、視野から外れていたために勉強していなかったのです。
そんなわけで、外構業者が行う電気工事の80%は間違った工事をしています。驚くなかれ、これは事実です。ハウスメーカー下請外構業者でも同じです。それも当事者に罪の意識はなく、単に知らないだけなのです。お客様にとってはまさに衝撃の事実です。電気屋さんも有資格者なのにそのことについては触れません。
その一例を簡単にご説明します。
よく外構工事で使用されている配線で、グレー色で楕円形のVVF(通称VA線)という物があります。実はこれは固定用の屋内配線。屋外用ではありません。屋内用に作られた物を屋外で使っているのです。使うべき屋外配線電線は使われていません。屋外配線は外皮膜を紫外線に強いビニールで保護し、クッション材入りの専用電線でよく曲がるように柔らかくなっています。
もっと言えば地中埋設時に使用する空配管(中が空洞のパイプ)の現状もひどいものです。
多くの外構業者がCD管(通常オレンジ)を使用していますが、それは間違いです。CD管はコンクリート埋込専用でRC擁壁(鉄筋コンクリート)などのコンクリートの中に埋め込む空配管です。周りがコンクリートですからCD管に耐久性・防水処理はされていますが、それほど高耐久ではありません。ですから、埋設をする場合は「露出・いんぺい・埋め込み用のPF管」を使うべきなのです。これは地中埋設されることを目的に造られたPF単層波付管(PFS)ですから、高耐久性・高防水性で曲げにも強いのです。
この問題を軽く見ることはできません。時が経って問題は確実に発覚することでしょう。少しの漏電は生活に支障ないかもしれませんが、家族の経済には負担となります。築10年以上にお住まいの方は一度、漏電テスターでチェックしてみてください。恐らく実情が理解していただけるでしょう。
そこで電気知識のある業者の見分け方を。これは実は簡単です。
担当者にこう聞いてください。「門灯の配線は、どのようにするんですか?」って。施工担当者の回答の中にVA・VVF・CD管などのキーワードが出てきたら、電気工事に関していえば不合格です。
数社から見積りをとってもいいのです
エンドユーザー(お客様)を対象としている外構エクステリア会社の常識から言えば、合見積は当たり前で、反対に勧めています。お客様の利益になるからです。お客様に選ばれるように各社がしのぎを削ってプランニングを行います。と同時にコストも競争の的になります。お客様がどこで見積を依頼しようと問題ありません。お客様にとって外構・エクステリアは車を買うのとは訳が違うのです。失敗ができないのですから数社から見積を取るのは当然のことです。
私たちは、プロとしてお客様主催のコンペに参加して、自社の持味を提案するだけなのです。審査員はお客様です。
ただ、私たちの同業者の中には、本当に許せないやり方をしている業者がいることもまた事実です。
何の努力もせず、他社のプランを批判し、お客様から価格を聞き出し、見積もせず他社金額の下を潜ろうとする業者です。長年付き合っていける良い業者を見つけたいと思っているお客様には、そのことを知っておいてもらいたいのです。
こうした行為を繰り返している業者に、本当にお客様のことを考えている業者はいない──そう断言できます。
お客様は「いい外構・エクステリア業者と出会いたい」と思われていることでしょう。その実現のためには、お客様自身の責任で業者を選ばなければなりません。ですから、見極める為にも数社からの見積を依頼すること自体はお勧めします。では、どうやって見極めるのか? いくつかポイントを挙げておきましょう。
お客様のご自身の責任で業者を選びましょう
- 不景気な時代でも、いい会社はそれなりに忙しいのです。仕事が不足しているということは、仕事内容のレベルが不足しているから仕事を獲得できないのです。
確率的にみて、他社批判をする会社に、いい会社は少ないはずです。
施工実績のある会社は、お客様現場の近隣に必ず紹介できる現場を持っています。
この業界には、実体のないブローカー外構会社が多いのです。会社訪問をお勧めします。ブローカーは来社されると困るので、理由をつけて来ないように誘導するはずです。
この時代に平面図・立面図のみで提案をしてくる会社は、CADが良い悪いの問題は別として、勉強不足です。プロなのだから、パソコンが苦手といった言い訳は通用しません。
下請比率50%を超える会社は、お客様のことを考えることができません。そのような業者は、元請の業務に絶対ですから。